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ロシアのウクライナ侵攻

哲学者の東浩紀は、
娘が2005年に生まれたこともあり、2000年代の末からコロナが来る直前まで、毎年1-2回は家族で海外旅行に行っていた。最後はアイスランド。たいていの国に子供連れで安全に行けた。もうあんな時代は長く戻ってこないかもしれない。行っておいてほんとうによかった。そして娘が生きる時代を憂う。
とTwitterに投稿した。
これから息子の誕生を控えている自分にとっても、このウクライナ侵攻は非常に大きな意味を持つ。

このウクライナ侵攻において私が最も危機感を覚える点は、西側諸国における不信感の蔓延が引き起こす急激な保守言論の台頭、そしてその陰に潜む全体主義である。
メディアによる過激な報道には、強い言説が団結力を持ってしまう側面がある。「今こそ対話を」と呼びかけるその姿勢のなかに、思考停止がひそんでいやしないだろうか。わたしも含めて、このようなショッキングな出来事があるとすぐに正解を見つけようとしてしまうものである。事実、現状において経済制裁のみでしか対抗姿勢をとることができない西側諸国中には、すでに極右政党が力を伸ばしている国がある。オランダのみならず、ラ・マルセイエーズを国歌とする民主国家においてでさえ。
絶対に忘れてはならないのは、ヒトラーはこうした民主主義下において生み出されたものであるということである。危機的な状況において、民主主義が冷静さを失うことは実験的に証明済みなのだ。絶対悪を設定することは容易である。もちろん今回のウクライナ侵攻は、その周到な計画のもと実行したロシアに批判が集中されるべきものである。しかし、それを絶対悪としてウクライナ侵攻をEU諸国ひいては西側諸国の視点により一方的に捉え始めたとき、民主主義の失敗が繰り返されることとなる。

私の尊敬してやまない物理学者に、リチャード・ファインマンがいる。彼の自然科学を愛する態度に心を打たれる者は多いが、彼はマンハッタン計画に参加した立派な戦争加担者でもあるのだ。そのファインマンは戦後、自伝にてこう述べている。戦時中、彼が陸軍で働くか、ベル研究所で働くかの選択を迫られた際のことである。
「これこそ僕が祖国に貢献する絶好のチャンスだ」とばかり、陸軍で働くことを申し出た。ベル研究所に、その夏は陸軍で働くことを許してほしいと願い出たところ、そんなに軍の仕事がやりたいのなら、こっちにも戦争のための仕事がいくらでもあるから、それをやればいいではないかと言ってくれた。しかしすっかり愛国心にかられていたおかげで、僕はこのときほんとうに惜しい機会を逸することになってしまった。今考えれば、ベル研究所で働くほうがずっと賢明だったわけだが、あのような時勢には誰しも少し頭がおかしくなるものなのだ
日本が大戦に向かっていった背景にも、こうした狂気的な思考停止があった。北京パラリンピック閉幕後、中国は遅かれ早かれ台湾の併合に着手するだろう。その不安は、日本全土をも巻き込んでゆくことになる。そこで生じる言説には常に最新の注意を払わなければならず、思考を繰り返さなければならない。
ウクライナ問題を捉えるうえで重要なのは、ソ連勃興とウクライナ地域における支配関係の歴史学である。そこには密接に、西側諸国の搾取の歴史も見て取れる。日本も今後、中国との外交衝突は避けては通れないだろう。そうなった際、強い言説に扇動され無思考な決断を下してしまってはならない。このウクライナ侵攻の経験から、わらしたちも”少し頭がおかしくなる”前に、歴史を振り返り、多角的な視点を確保しておく必要があると強く思う次第である。
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